入学式 校長式辞


 新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。今日は雨降る中ですが、桜の花も満開でみなさんの出発を祝っているかのようです。皆さんのお父さんやお母さんは、今日の日をどれほど楽しみにされたことでしょう。保護者の皆さま、お子様のご入学心からお祝い申し上げます。小学生から中学生へと大きな節目を通過し感慨もひとしおのことと思います。これから自立に向かっていく彼らを、一歩離れたところで支えていくことも、また大事ということを頭の片隅においていただければ幸いです。

  さて、新入生のみなさん。4月は新しいことが様々始まる時期です。入学式、入社式、在校生は進級し新しい年度が始まるといった「始まり」の時期です。みなさんは、中学校に来て、新しい生活を始めていく訳ですが、小学校の時とは様々なことが変わっていきます。成長期に入って身体が大きく成長していきますし、周りの人との関係も変わっていきます。学習についても、自分で様々なことに取り組んでいくことが求められます。そうやって変わっていく中で、皆さんにできるようになって欲しいことがあります。それは、「自分以外の誰かのことも考えられるようになる」ということです。和光中学校は、「共に生きる」と言うことを掲げています。「共に」というからには、自分以外の誰かということが当然前提ですね。誰かと一緒に生きていくためには、相手がどんなことを考えているか理解しなければなりません。意思疎通、コミュニケーションという言い方もあります。それでは、どうしたら相手のことが理解できるか。まず第一には相手のことを受けとめよう、という姿勢が必要です。さらには、言葉を使ってなるべく誤解のないように伝えることもとても大事になってきます。「うぜぇー」という言い方をよく中高生はしますが、それだけでは、あることが気にいらない、うっとうしいということしか伝わりません。何が自分は気にいらないのか、どうして欲しいのか、と伝えなければ、ことがらの改善にはつながりません。必要にして十分な言葉が使えるように心がけてください。

 もう一つ。自分以外の誰かとは、皆さんの多くにとっては、とりあえずは自分の周りの人、クラスメイトや家族などでしょう。私たち一人ひとりは当然、自分の身近な人とお互いに影響を与え合う訳ですが、「自分以外の誰か」の中に、少し視野を拡げて、私たちから遠いところに住んでいる人たちのことも考えられるようになって欲しいと思います。戦争に苦しむ人、地球温暖化により住む地域を奪われている人、飢餓に苦しむ人、理不尽に政府に弾圧されている人。そういうことまで考えられて、地球中の人と「共に生きる」と言えるのではないでしょうか。

 これからの中学校の日々、自分なりの夢と不安を抱えて進んでいく3年間でしょう。場合によっては、周りとトラブルが起きることも当然あります。でも、それは無駄な時間ではありません。そこから学んで成長していけるのが人間だからです。そうして、一歩一歩、歩いていけば3年後には、成長した自分の姿に会うことができます。恐れずに進んでいって欲しいと願っています。

2024年4月9日 和光中学校 校長 橋本 暁


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