入学式 校長式辞

 


 新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。みなさんの入学を心から歓迎します。在校生も私たち教職員も今日のこの日を待っていました。保護者の皆さま、お子様の入学を心待ちにしていらっしゃったことと思います。ひとつの節目を越え、感慨もひとしおのことと思いますが、これから思春期に本格的に入っていく子どもたちと少し距離を置いて見守っていくことも必要になってくるか、と思います。 

さて、新入生の皆さん。「中学生」という言葉には、何か大人になったような響きがありますね。電車やバスも大人料金です。でも、完全に大人という訳ではありません。これから大人になりつつある人、と言ってもよいかもしれません。そして、中学から高校までの6年間は、人生で一番と言ってもいい大きな変化の時間が皆さんを待っていると私は思っています。身体が成長するのは勿論のこと、興味や関心が大きく拡がったりもするでしょう。得意なこと、苦手なことがあれこれ変わったりするのも、この時期ならではの特徴だと思います。この点について、私自身の経験に引き付けて、もう40年以上も前の話ですが、少し話をしたいと思います。

中学生の頃、私は英語が好きで、しかもわりと得意科目でした。学校の授業にちゃんと取り組んで、家ではNHKラジオの語学講座を聞いているぐらいで、特に困ることはなく楽しく学べたのです。ところが、高校生になったら急に学校の授業が分からなくなりました。何が分からないのかも、よく分からない。英語に触れること自体も楽しみを感じなくなってしまいました。大学には行こうと思っていたので、試験で英語は避けることはできません。そこで、覚悟を決めて分かるところまで戻って、懸命にやり直しました。その結果、自分がどこに引っかかっていたのか、分かるようになって、再び英語に取り組むことが楽しくなりました。振り返ってみると、よくあれだけ頑張れたな、と思います。苦労した分、今でもあまり忘れていないような気がします。

ここで言いたいのは、好きなこと・得意なことでもどこかで壁にぶつかるかもしれない、ということです。その時、皆さんならどうしますか。そこであきらめてしまうのか、何とか頑張ってみるのか。そこが分かれ目のような気がします。様々な可能性がある皆さんには、正面からぶつかって壁を乗り越えていってほしいと思います。

新入生の皆さんには、もう一つ伝えたいことがあります。それは自分が自分らしくいられるためには何が大切か、ということです。自分がこれでいいんだ、と自身で思えるためには、周りから認めてもらえている、という感覚が不可欠なように私は思います。親からでも、教室で一緒に過ごす仲間からでも、あなたはこういう良いところがあるよね、と伝えてもらっている経験が大切なのではないでしょうか。残念ながら、この3年間新型コロナウイルス感染症のため様々な制限がかかりました。お互いの良さが分かるためには、一緒に何らかの活動を共にすることが必要で、それが制限されたのがこれまででした。日本より早くコロナが収まったアメリカやヨーロッパでは、大きくぶり返しがあったという話は聞きませんから、日本でもこのまま収まってくれることを期待したいと思います。

新入生のみなさん。これから、和光という舞台で仲間と関わりあいながら、お互いの良さを発見し認め合っていってください。私たち、和光中の教師もみなさん一人ひとりの良さを見つけていきたいと思っています。と同時に、一番目に話したように壁を乗り越える経験をして、自分を成長させていてく、そういう3年間であることを願っています。

 

2023411日            

 和光中学校長 橋本 暁

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