校長ブログ 秋田学習旅行に行ってきました

もう1ヶ月前になってしまいましたが、本校の大きな行事の一つである秋田学習旅行の引率に行ってきました。中学生で5泊6日もの学年合宿が設定されている学校はあまり無いと思います。わらび座の舞台鑑賞と引き続く祭りづくり、そして3日間の農業体験と生徒は様々なことを経験し大きく成長します。5日目の夕方、わらび座の方・農家の方を招いて会をするのですが、その会で2年生に以下のような話をしました。

わらび座のみなさま、農家のみなさま、まず最初に、生徒を受け入れてご指導いただきありがとうございました。学校を代表して御礼を申し上げます。

秋田学習旅行もこのお別れ感謝の会と明日6日目を残して終わろうとしています。生徒の皆さんの表情を見ていると、今とても生き生きとしているように感じます。1日目から今まで充実した時間を過ごしたのではないでしょうか。1日目の『いつだって青空の劇』の時から皆さんは集中していたように思いました。劇の内容を覚えているでしょうか。明治のころ女子に運動が許されない中で女の子にも体操が必要だとか、戦争で人がどんなに傷つきもてあそばれるのか、ということがテーマでした。もし、今、私があの劇の内容についてこの場で1時間ぐらい話をしたとしても、みなさん聞けるでしょうか。それはやはりなかなか難しいと思います。では、なぜ皆さんが劇に集中できたのか?それは一言で言えば「文化の力」なのだと思っています。歌や踊りや演技なら受け取りやすい、共感しやすい、人の心に訴えるものがあるのではないでしょうか。私は、これこそが、文化や芸術の持つ力なのだと思います。わらび座の皆さんが、日々練習を積み重ね様々な努力をして、文化を受け継ぎ創造していることに心から敬意を表します。

次に農業と言うことでお話ししたい。皆さんはこの3日間で、大変さもあるけれど、稲の刈り取りや芋ほりなど収穫の喜びとか新鮮な野菜の美味しさなど農業のたのしさを感じた人が多いでしょう。

でも同時に日本の農業が今大変な状況の最中にあることも皆さんに知っておいて欲しいのです。ひとつあげれば、8月にアメリカのトランプ大統領が日本にトウモロコシを輸入するよう頼み、大量のトウモロコシを買うことを安部首相は約束しました。トウモロコシは豚や牛が餌として食べるものですね。そして、秋田学習旅行中に日本とアメリカで貿易協定が結ばれましたが、お米については「聖域」が守られたと報道されました。トウモロコシが輸入されるのは、ニュースの解説によれば、トランプ氏が次の大統領選挙を有利に進めるためなんだそうです。トウモロコシをたくさん作っている州が選挙の時激戦区で、ここを押さえられれば有利になるというんですね。アメリカと中国は貿易でもめていますから、中国は今アメリカのトウモロコシを買ってくれない、余っている。そういうものを日本は引きとらされた、ということです。では、なぜトランプさんはお米のことを頑張らなかったのか?お米をたくさん生産している州はカリフォルニア州です。ここはトランプさんのライバルの政党が強いところです。ちょっと頑張っても勝てそうもない。だから、放っておいただけの話です。このように日米関係に日本の農業は大きく影響されています。

こういうことは感覚では学べない。学ぶためには、言葉を磨いて、さまざまな言葉を獲得して学んでいくしかない。人間は、感情は言葉でなくても伝えられます、表情とか絵とか音とか。しかし、考えることは言葉でしかできません。この5日間、みなさんは自分のノートに色々なことを書いてきました。書くということがみなさんの言葉の力を育てたと思います。2年生の皆さんにはこれからも頑張って言葉を学び続けてほしのです。

これで最後にしますが、1学期の始業式に何を話したか覚えている人はいますか。ナチスがつくったダッハウという強制収容所を訪ねた中学生の話をしました。覚えていてくれると嬉しいのですが(学校のホームページのなかに校長ブログがあって載せてあるので時間のある時見てください)、その時言ったのは体験が人を変えると言うことでした。今皆さんはその言葉を実感しているのだと思います。私があえて付け加えるとすれば、本気の体験が人を育てると言うことです。本気で取り組まないと、残念ながらその意味は半分になってしまう。このことも多くの人は分かっていることでしょう。

劇の中で阿くり先生が自分の生徒のことを「皆さんは希望の種」と言っていました。私たち和光の教師にとっても皆さんは希望の種です。秋田でのこの体験を噛み締めてこれから生きていってほしいと思います。






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