始業日の言葉

 おはようございます。最初の日にいきなり小田急線が止まり、途中大変な思いをした人もたくさんいるでしょう。でも、こうして今、みなさんに会えて嬉しく思います。

2年生のみなさんは、秋田に行くことを楽しみにしている人が多いでしょう。3年生はあさってにはもうオリテ運動会のリハーサルで今日からいろいろと準備があって大変だと思います。夏の館山合宿も、あっという間にやってきますね。

さて、今日は経験が人を変える、ということを話したいと思います。

私はドイツの歴史のことを長いこと勉強してきて、高校ではその関係の授業も持っているのですが、ドイツのことを多少知っている、少しだけドイツ語もできるということで、大学時代の友人の家族と私の家族とで一緒にドイツを旅行したことがありました。その時、ミュンヘンという町の近くにあるダッハウという町に行きました。ダッハウは知らなくても、ミュンヘンは知っている人も多いのではないでしょうか、有名なサッカーチーム、バイエルンミュンヘンの本拠地があるところです。ダッハウは、ナチスの作った最初の強制収容所です。強制収容所というのは、政府に反対するドイツ人、そしてユダヤ人を隔離して収容しました。ユダヤ人たちの多くは収容所の中で食べ物もろくに与えらずひどい扱いを受け、死んでいってしまう人も多かったのです。ダッハウには、当時の収容所の小屋がいまだに残っています。木製の粗末な3段ベッドも残っています。死体を焼いた火葬場も残っています。強制収容所は、人間が人間らしい気持ちを失った時、どこまでひどいことができるのか、を強く感じさせてくれる場所です。

友達の息子は当時中学生だったのですが、その現場に立って何かに心が動かされたのでしょう、それまではあまり歴史の勉強が好きではなかったそうですが、それからは人が変わったように歴史を学ぶようになったと聞きました。

家族でドイツに行けるなんていうのは、とても恵まれた体験だと思いますが、そうでなくても様々なところに自分を変えてくれる体験というのはあると思います。みなさんの先輩で、秋田に行って自分は変わったと書いている人がいました。水泳が嫌で嫌でたまらなかったのに館山で3年生で何とか遠泳に挑戦できて、自分に自信がついたという人もいました。

和光という学校は中学でも高校でも、他ではできない体験のできる学校だと思います。そして、学校の中に限らず、十代の何年かというのは自分を変えるような経験が何回かある時間です。そういう体験との出会いを大切にしていってください。

出会いと言えば、各クラス新しい担任の先生との出会いがあったと思います。2年生はクラス替えもありました。新しい1年の始まりです。気分を一新して過ごしていきましょう。

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